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<div id="詳細01"  style="font-size: 150%; color:Aqua;">01:ローレンツ関数を使う理由</div>
<div id="詳細01"  style="font-size: 150%;">01:ローレンツ関数を使う理由</div>
: これには2つ理由がある。
: これには2つ理由がある。
: 1つはローレンツ関数がクラマースクロニッヒの関係を満たすことだ。
: 1つはローレンツ関数がクラマースクロニッヒの関係を満たすことだ。
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: <math>n_{2}(\nu) = - \frac{2}{\pi}P\int_{0}^{\infty}\frac{n_{1}(\nu')}{\nu'^2 - \nu^2}\, d\nu'</math>
: <math>n_{2}(\nu) = - \frac{2}{\pi}P\int_{0}^{\infty}\frac{n_{1}(\nu')}{\nu'^2 - \nu^2}\, d\nu'</math>
: これが1つ目の理由である。
: これが1つ目の理由である。
: 2つ目の理由は配向分極の振動電場に対する応答がデバイ型緩和によってよく表せることが背景になっている。ここでは、導出は省略して最終的に導かれる式のみを示す。詳細は参考文献[2]<ref name = "ref2" />を参照してほしい。
: 2つ目の理由は赤外光による振動電場に対する応答がローレンツモデルによってよく表せることが背景になっている。ローレンツモデルでは誘電体の振動電場への応答を正電荷を持つ骨格に電子がばねでつながっている振動子に近似している。模式図は以下のようになる。
: デバイ型緩和の考え方に基づくとは以降分極による誘電率は以下のように表せる。
[[File:ローレンツ.png|500px]]
: <math>\hat{\epsilon}(\omega) = {\epsilon}_{0}({{\epsilon}_{\infty} + \frac{{\epsilon}_{s} - {\epsilon}_{\infty}}{1 + i{\omega}{\tau}} })</math>
: ここで、<math>m</math>:電子の有効質量、<math>{\omega}_0 = \sqrt{\frac{k}{m}}</math>:振動子の固有振動数、<math>k</math>:ばね定数、<math>\gamma</math>:速度に比例する抵抗である。
: ここで、<math>{\epsilon}_{s}</math>:定常電場の比誘電率、<math>{\epsilon}_{\infty}</math>:高周波極限の比誘電率であり、
: この時以下のような運動方程式が立てられる。
: <math>{\epsilon}_{s} = 1 + {\chi}_{e1} + {\chi}_{e2}</math>(<math>{\chi}_{e1}</math>:原子間の結合の振動に関する感受率 <math>{\chi}_{e2}</math>:回転に関する感受率)
: <math> m\frac{\partial^2 r}{\partial t^2} + m{\gamma}\frac{\partial r}{\partial t} + m{\omega}_0^2r = -eE</math>
: <math>{\epsilon}_{\infty} = 1 + {\chi}_{e1}</math>
: ここでは、導出は省略して最終的に導かれる式のみを示す。詳細は参考文献[2]<ref name = "ref2" />を参照してほしい。
: と表される。
: ローレンツモデルの考え方に基づくと誘電率は以下のように表せる。
: このことからは以降分極による誘電率<math>\epsilon</math>はローレンツ関数で近似的に表されることがわかる。
: <math>\hat{\epsilon} = {\epsilon}_{0}\left \{1 + \frac{{\omega}_p^2}{({\omega}_0^2 - {\omega}^2) + i{\omega}{\gamma}}  \right \}</math>
: ここで、<math>{\omega}_p = \frac{ne^2}{m{\epsilon}_0}</math>(<math>n</math>単位体積当たりの双極子モーメントの個数。)
: このことから誘電率<math>\epsilon</math>はローレンツ関数で近似的に表されることがわかる。
: さらに、誘電率<math>\epsilon</math>と屈折率<math>n</math>の間には
: さらに、誘電率<math>\epsilon</math>と屈折率<math>n</math>の間には
: <math>\sqrt{\epsilon} = n</math>
: <math>\sqrt{\epsilon} = n</math>

2021年12月13日 (月) 07:18時点における最新版

01:ローレンツ関数を使う理由
これには2つ理由がある。
1つはローレンツ関数がクラマースクロニッヒの関係を満たすことだ。
屈折率の実部と虚部がクラマースクロニッヒの関係を満たすことからフィッティング関数にもこのような性質が要求される。
この関係式は以下のようなものである。導出は複素積分を使う数学的なものなので導出等は省略する。詳細は参考文献[1]を参照してほしい。[1]
これが1つ目の理由である。
2つ目の理由は赤外光による振動電場に対する応答がローレンツモデルによってよく表せることが背景になっている。ローレンツモデルでは誘電体の振動電場への応答を正電荷を持つ骨格に電子がばねでつながっている振動子に近似している。模式図は以下のようになる。

ローレンツ.png

ここで、:電子の有効質量、:振動子の固有振動数、:ばね定数、:速度に比例する抵抗である。
この時以下のような運動方程式が立てられる。
ここでは、導出は省略して最終的に導かれる式のみを示す。詳細は参考文献[2][2]を参照してほしい。
ローレンツモデルの考え方に基づくと誘電率は以下のように表せる。
ここで、(単位体積当たりの双極子モーメントの個数。)
このことから誘電率はローレンツ関数で近似的に表されることがわかる。
さらに、誘電率と屈折率の間には
という関係があるから、屈折率もローレンツ関数で表しやすいと考えられる。
以上の2つの理由からフィッティング関数としてローレンツ関数を用いている。

参考文献

  1. 小林浩一:光物性入門
  2. 遠藤雅守:電磁場の物理学ーその発生・伝搬・吸収・増幅・共振を電磁気学で理解するー