チュートリアル12:導体モデルを用いた固液界面のMD計算

提供: ComplexRI: Manual
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導体分子を含む系のMD計算を行うためのチュートリアル。 導体計算のプログラム内部での取り扱いの概要と、実際の MD 計算について述べる。


計算の基礎

導体は内部サイトの電位が等しくなるように部分電荷が分極するモデル [1]。 計算アルゴリズムの詳細については conductor_struct を参照。

計算手続き

A.初期設定

  • ネームリスト &conductor をFreeFlex本体の入力ファイルに設定する。

&conductor は導体1つ分(等電位条件を課す原子団)に対応し、本計算例では2つの &conductor を設定することでスラブの上下に2つの等価な界面を形成する。 導体として指定されたサイトは自動的に MD の最中で絶対座標が固定される。

項目 変数の種類 Default Description
isite CHARACTER "" 等電位条件を課すサイト群。詳細な指定方法は &conductor を参照。
xi DOUBLE_PRECISION 0.0 (*) 導体モデルにおけるサイト電荷の広がり (Å)。サイト間相互作用の短距離ダンピングと、導体の分極に対する reorganization energy としての意味を持つ。
charge DOUBLE_PRECISION 0.0 導体の全電荷 (e)。

(*) default は xi = 0.0 (点電荷) としているが、この値を用いると自己相互作用が発散するため必ず指定する。

  • 系が導体分子を複数含む場合、もしくは分極する溶媒分子を含む場合には導体の分極は SCF 計算によって解かれる。このときネームリスト &FreeFlex のパラメータ conductor_tolerance によって導体分子の分極電荷に対する収束の閾値を設定できる。
  • 初期状態の .ms ファイルを用意する。(本チュートリアルでは水/白金界面の例が用意されている。)

B.MD計算の実行

実行例―白金/水界面のMD計算

下図に示す、水(SPC/E)1024分子と白金 (111) 面が接するスラブ系の ms ファイル system0.ms と入力ネームリスト input.nml が /sample/tutorial/12/ に用意されている。セル長や力場パラメータなどは system0.ms を参照。

Pt111 water.png

この例では 1から3072番目までのサイトが水分子であり、3073から3372番のサイトと3373から3672番のサイトが2つの独立な導体として input.nml の &conductor で指定されている。例として用いた xi と白金の LJ パラメータはそれぞれ文献[1] [2]を参照。 実際に計算を実行すると、MD 計算のはじめに一度だけ導体内部の相互作用テンソルを計算するため、通常の計算より MD のループが開始するまでに時間を要する。

  1. ↑ 1.0 1.1 J. I. Siepmann and M. Sprik, J. Chem. Phys. 102, 511 (1995).
  2. ↑ H. Heinz, R. A. Vaia, B. L. Farmer, and R. R. Naik, J. Phys. Chem. C 112, 17281 (2008).